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中国発、ビッグデータから生まれたIT業界人向けヘアケアブランド「ITCareLab」

◆ English version: Chinese haircare brand ITCareLab wields big data to develop products for the IT crowd
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中国に、IT業界で働く人向けの育毛専用ブランド ITCareLab が2019年9月に誕生した。しかも、その商品開発はビッグデータをもとに行われている。もともと中国では薄毛に悩む人は多く、40代以上向けに漢方を配合した既存の中国ブランドや日本を含む海外ブランドのシェアも高い。そこをどう切り崩していくのか、また今後の育毛関連市場についても考察する。

中国のリサーチ会社 iiMedia Researchの調査によると、中国では抜け毛や薄毛で悩む人が2億5,000万人も存在するという。また、その若年化傾向も顕著だ。2017~2018年の年齢分布を見てみると、もっとも多いのは26~30歳で41.9%、次いで31~40歳の25.4%、18~25歳の24.7%と続く。意外なことに41~60歳は合わせても4.8%に過ぎず、この層は悩むという次元から脱出してしまっているようだ。極端に若い世代に悩みが偏る分布になっている。

IT業界の「996」ブラック労働が蔓延

若年化の原因として指摘されているのは、仕事などのストレスや食生活の変化。その最たるはIT業界だ。今春、中国で「996」という言葉が話題になった。「朝9時から夜9時まで、週6日間働く」勤務体制のことで、アリババグループのジャックマーCEO(当時)やJD.com(京東商城)の劉強東CEOがそんな働き方に対して肯定的な発言をして炎上するなど、物議を醸している。

中国のIT業界では薄毛の人が多いとされ、その理由に過酷な労働環境によるストレスがあげられているわけだ。ITCareLabはその名の通り、そうしたIT業界で働く若者をターゲットに開発されたブランドである。現地の報道によると、創業者の1人である容顕麗氏はIT業界で十数年のキャリアをもち、ライブストリーミング大手「YY(歓聚時代)」やポータルサイト「NETEASE(網易)」での勤務経験で、過酷な労働環境を目の当たりにしてきたという。

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出展:ITCareLab公式サイトより
商品コピーは「IT業界人専用ブランド」とある

同ブランドは化粧品業界のサプライチェーン・プラットフォームサービス「找原料網」、美容業界のビッグデータ・プラットフォーム「美業顔究院」が長年にわたり収集したデータを基に研究開発されてきた。

找原料網は、原材料における国内外数千社のサプライヤー、3万人以上の調合技術者、30以上の研究室、1,000社以上の工場の情報を網羅している。一方、美業顔究院は国内外の数万社の日用品・化粧品ブランドのマーケティングデータを有し、ITCareLabの市場でのポジショニング、価格決定、販売チャネルやマーケティング戦略の分析をサポートしている。ちなみに找原料網の創業者の賴相江氏と美業顔究院の創業者の別曉峰氏も、ITCareLabの共同創業者に名を連ねている。

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