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中国の非接触リテール、美容部員によるライブ動画などで封鎖でも売上を堅持

◆ English version: Beauty care in the time of Corona: “No-touch” retail and staff-hosted live streams in lockdown China look set to stay
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中国では、生身の人間同士が物理的に接触しない「非接触リテール」が消費におけるキーワードになっている。世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の “発生源” である中国では感染を抑え込むために、非接触購買を徹底してきた。具体的にどのような活動が行われたのか、美容業界の事例を中心に紹介する。

中国政府はCOVID-19に対する初動対応は誤ったとも評されたが、その後、人々の活動を厳しく制限するなど、共産党の強権を活かすことでウイルスを抑え込んできた。多くの店舗が休業を余儀なくされ、多くの市民が外出を禁じられた。そうした状況下でまず、人々の生活を支えたのは宅配サービスだった。ユーザーはスマートフォンのアプリを通じて注文し、支払いを済ませると、配達員はマンションや団地内の決まられた場所に商品を置いていく。ユーザーは配達完了の通知を受け取ると品物を取りに行く。つまり、人と全く接触することなく商品を手にすることができるのだ。

店舗の休業で美容部員がライブ動画を配信

中国・国家統計局によると、1~2月の社会消費品小売総額は前年同期比20.5%減の5.2兆元(約79兆円)と、COVID-19は甚大な影響を与えた。しかし、インターネット小売額は3%増の1.4兆元(約21兆3,000億円)とプラスだった。非接触購買が押し上げたわけだが、人々が注文するのは食料など生活必需品だけではない。非常時であっても、必ずしも必需品ではない美容関連商品の需要は底堅かった。実店舗での販売が難しいため、ブランド各社がオンラインに力を入れたのも理由のひとつだ。

いま最も勢いのある中国ブランドである「PERFECT DIARY(完美日記)」は、2019年から注力している実店舗のほとんどが休業を余儀なくされたが、50店舗に在籍する美容部員がWeChatのミニプログラムでライブ動画を配信。商品を使いながらメイクのコツを教えたり、ユーザーからの質問に答えたりしたほか、抽選会も行った。

また、インフルエンサーのような人気の高い1人の美容部員が配信する方が、効率がいいにも関わらず、あえて店舗ごとにアカウントを作成したのもポイントだ。その理由を、同ブランドの運営会社・広州逸仙電子商務の劉炳良CTO(最高技術責任者)は、「地域によって方言も違えば環境も違い、ユーザーが求めているものが微妙に異なるからだ」とする。「配信は商品の説明やPRをするだけでなく、衛生や安全を呼びかけたり、同じように外出を禁じられている仲間として、ユーザーと互いに励まし合う場にもなっている。PERFECT DIARYは『“あなた”に向けた配信』を作り出している」(同)と述べた。

劉氏によれば、ミニプログラムはほかのプラットフォームのようにダウンロードしてインストールする手間がなく、ユーザーが気軽に使えるという利点があり、コンバージョン率もほかのプラットフォームより2~3倍高いという。

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