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韓国コスメブームから、J-Beautyの見直し機運高まる

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2017年12月、本サイトの「コスモプロフ アジア」レポートや、「国際化粧品展」レポートでも、近年圧倒的な存在感を放つ韓国製コスメK-Beautyの躍進を取り上げた。アジアンビューティを牽引するもうひとつの国、日本製コスメのJ-Beautyも、2018年に入ってから、各国メディアでいわば「見直し」評価が続いている。そのポイントを探りつつ、今後の動きを考えてみたい。

中国でJ-Beauty人気が急上昇中

きっかけは、NYが拠点のリサーチ企業L2が2 月に発表した「Digital IQ Index Beauty China 2018」だ。韓国を代表する化粧品メーカー、アモーレパシフィックの2017年最終四半期の中国国内での売上が対前年比76%に減少。一方で、日本製化粧品のデジタル広告や売上が増加し、中国最大級の越境ECアプリ「小紅書(RED)」で、資生堂、ポーラ、DHC、ファンケル、Dr.シーラボなどの日本ブランドが取り上げられる数が増えているという。

出典:Jing Daily

その背景には、THAAD(高高度ミサイル防衛システム)の韓国への配備に対する中国の経済報復の影響もあるといわれているが、それだけではない。中国では、「ラグジュアリースキンケア」カテゴリが急成長中で、高品質で信頼性のある資生堂、SK-IIといった、これまでは手が届かなかった高単価な化粧品を買い求める消費者が増えている実態もあるようだ。

J-Beautyの再評価ポイントは4つ

上記は中国での事例だが、ヨーロッパやアメリカでも同様に、J-Beautyブランドへの関心が高まっているという。日本発の製品が再び評価されてきているポイントを大きくまとめると下記の4点に集約され、その多くがK-Beautyとの対比で語られている。

1. 独自の美容様式と伝統へのリスペクト

日本には歌舞伎や芸妓などにみられるように、伝統的に培われた美意識にもとづく独自の化粧文化があること。くわえて、古来よりスキンケアに用いられてきた椿オイル、緑茶、米などの自然由来の成分を配合したスキンケア製品に好感が寄せられている。

2. 最新のサイエンスとテクノロジーに基づく高品質な商品開発

伝統的な手法を大事にすると同時に、高度な製造技術、先端科学技術を取り入れた商品開発でも日本は定評がある。日本文化にインスパイアされて誕生したスキンケアブランドTATCHAの共同創業者であるヴィクトリア・ツァイCEOも、「日本は、メイクとスキンケアの両分野で、西欧の3年先をいっている」と評価。最近は、日本企業による、AIや人工皮膚をはじめとしたテック企業買収の動きも相次いでおり、資生堂は2017年、スキンテック分野で12もの特許を取得している。

出典:CBINSIGHTS

一方で、K-Beautyはぱっと目を引く、いわばインスタ映えするかわいいパッケージや、「かたつむりクリーム」といったトレンドメイキングにたけている。とはいえ、中身が伴っていないという評価も少なくない。直近でもアモーレパシフィックなど韓国の化粧品メーカー8社の13製品から、基準値を上回る重金属が検出されたという韓国政府機関の発表があり、今後、K-Beautyの生産管理体制により一層厳しい目が向けられるだろう。

3. シンプルなスキンケアステップ

K-Beautyが「10ステップスキンケア」や化粧水を7回重ねる「7スキン法」など、丁寧だが時間のかかる方法を提唱しているのに対し、J-Beautyは、多目的で使えるオールインワンのようなアイテムを駆使したシンプルなスキンケアが主流で、実用的であり、万人に受け入れられやすい傾向をもつ。

4. ありのままの美を讃えるマーケティング戦略

広告にはティーンが好む韓国人セレブを採用し、「(整形も含めて)いつまでも若々しい、完璧な美しさ」を発信するK-Beauty。これに対して、資生堂、SK-IIなどのブランドでは、40代以上の女優を積極的に起用し、年齢とともに深まりゆく、ありのままの美しさを提唱。女性のエンパワメントキャンペーンも実施しており、世界の幅広い年代の女性たちの共感を得ている。

同じ東アジアの美容大国として、なにかと比較されてきたK-BeautyとJ-Beautyだが、改めてみてみると、消費者が伝統にもとづく質や安全性を求めはじめていることは間違いないようだ。が、世界各国の化粧品展示会は多数の韓国ブランドで賑わうのが日常風景となったいま、海外進出などのビジネス戦略は韓国に一日の長がある。

K-BeautyはASEAN進出を強化

2018年1月、韓国食品医薬品安全庁は次の一手となる取り組みをスタートした。2019年までにASEAN諸国と共同で新しい協議会を発足し、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」(GMP)や通関手続き、規制の統一などについての合意を目指すと発表したのだ。韓国とASEAN地域の化粧品産業の規約を統一することで、韓国の化粧品をASEANマーケットに流通させやすくするのが狙いだ。

韓国食品医薬品安全庁の関係者も、「韓国の化粧品分野での輸出相手国で最も取引高が多いのは現状中国だが、THAADの影響もあり、韓国企業の目はすでに東南アジアに向いている。韓国が率いて発足する新しい協議会での合意は、韓国の化粧品メーカーの今後のビジネスに恩恵をもたらすだろう」と話している。

K-Beautyは、ターゲットを中国からASEAN諸国へと比重を移し、市場攻略を目指していくことになりそうだ。ASEAN進出にあたり、ムスリムの多いマレーシア、インドネシアで需要の高いハラル認証取得にも力を入れている。東南アジアでの化粧品マーケットのシェア獲得競争が、さらに激化していくのは必至だ。

日本コスメの見直し機運が高まっているいまこそ、強みを最大限活かしたビジネス戦略、マーケティング戦略を各地域向けに強化していくことが重要なはずだ。韓国コスメに質がともなうのか、日本コスメが戦略に長けるのか。東アジアのライバル同士のグローバル展開は、2018年の施策が大きく明暗を分けそうだ。

Text: 小野梨奈(Lina Ono)                                                                             
Top image: Tianshu Liu via Unsplash

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