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TikTokは、短編動画プラットフォームを制し新たなビジネスを創出するのか

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中国発の短編動画共有アプリ「TikTok(抖音)」は、流行語大賞の候補になるほど日本でもヒットしている。しかし、ここにいたるまでの中国の動画プラットフォームは実に多種多様なサービスが存在し、激しい競争の中で新しいサービスが次々登場してきた。TikTokを生み出したByteDanceはむしろ後発組だが、新しい発想でさらにシェアをとっていくのか。今までの動画プラットフォームの移り変わりを見ながら、2019年の動画市場を考えてみたい。

渡辺直美も出演したイベントを4億人超が視聴

世界最大の動画共有プラットフォーム「YouTube」が誕生したのは2005年5月だ。実は中国ではそれよりも早くローンチした動画プラットフォームがある。2004年にサービスを開始した「Le(楽視視頻)」だ。LeはVOD(動画配信サービス)の色合いが強く、ユーザーによる投稿は少ない。映画やドラマなどの既成コンテンツをパソコンやスマートフォンで視聴するのだ。中国の動画プラットフォームといえば海賊版のイメージが強いが、Leはいち早く正式に版権を取得してきた。

無料で視聴できるコンテンツと有料会員しか視聴できないコンテンツに分かれているが、2017年6月のアプリ(スマホ、タブレット、アンドロイド搭載テレビなどを含む)のMAU(月間アクティブユーザー数)は約1億1723万人で、中国国内で第4位だった(中国IT調査会社・BDR調べ)。Leを運営する楽視網信息技術(北京)は2010年に深セン証券取引所に上場。その後続く動画プラットフォームの上場ラッシュの走りとなった。

2010年以降、中国では動画プラットフォームが相次いで立ち上がり、最大200社まで膨れ上がった。その中でトップまで上り詰めたのが、「Youku(優酷)」だ(ローンチ自体は2006年)。BDRによると、アプリの2017年6月のMAUは2億1442万人で第3位。同社は2010年にニューヨーク証券取引所に上場すると、2012年には業界2位の「tudou.com(土豆網)」を吸収合併し社名は優酷土豆となったが、各々のプラットフォームは現在でも独立を維持している。

もともとはYouTubeのようにユーザーが投稿する動画が中心だったため、著作権を無視した作品が多く上がっていたが、米国での上場を目指す頃から海賊版に対して厳しい姿勢をとるようになった。しかし、その著作権使用料が経営に重くのしかかるようだ。2014年、優酷土豆はアリババの提案を受け入れ、発行済み株式の18.5%をアリババに売却。翌年、さらにアリババは35億米ドル(約3955億円)を投じ、優酷土豆を完全子会社化した。アリババが今年11月11日の「双11(タブルイレブン、いわゆる独身の日セール)」に合わせて開催したイベントに、日本からタレントの渡辺直美が出演して話題になったが、同イベントはYoukuでライブ配信され4億人超が視聴した。

Youkuでライブ配信された渡辺直美のライブ
(Youku「双11」特設サイトより)

現在は、海賊版対策によりYoukuで無料視聴できるのはユーザーによる投稿動画とテレビのバラエティ番組などが中心で、ドラマや映画の多くが有料になっている。中国の若者は、日本以上にテレビ離れが進んでおり、以前は、パソコンでテレビ番組などのコンテンツを動画プラットフォームで視聴していたが、いまはそれがスマホアプリに取って代わっている。

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