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中国のヘアスタイル推薦AIアプリ「暁美机器人」で美容師のストレスも軽減

◆English version: Computer customized coiffures, a hairstyle recommendation app in China is in fashion
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働き手不足に悩む日本の美容サロン業界と、人件費に悩む中国美容サロン業界では、その各々の環境から全く異なったアプローチの差別化戦略が生まれている。ヘアスタイルを推薦してくれるAIアプリ「暁美机器人」の解説とともに、中国企業の差別化戦略の流れを考えてみる。

AIアプリ「暁美机器人」(出典:公式HP

ヘアスタイルを提案してくれるAIアプリ「暁美机器人」

中国で「暁美机器人」(中国語表記:晓美机器人)という、美容サロン向けの人工知能アプリが登場した。これはAIが顧客に似合ったヘアスタイルを提案してくれるというサービスで、その仕組みがとても興味深いのだが、まずはどのように使われているから説明していきたい。

美容院のスタッフがスマホに暁美机器人のQRコードを表示させ、顧客は自身のスマホにダウンロード済みの微信(WeChat)でそれを読み込む。その後、暁美机器人のアプリを起動させ、顧客は自分の顔をアップで撮影。身長など追加情報を登録していく。暁美机器人に内蔵されたAIは、顧客データを受け取り分析。似合うであろうヘアスタイルの候補を美容師・顧客双方のスマホに画像で送信してくれる。最後に、美容師と顧客が相談。候補の中から、最も気に入ったヘアスタイルを指定するという流れである。

美容サロンで利用される暁美机器人。
顧客が顔のデータをアプリに取り込んでいる。
(出典:人工智能美发,晓美机器人帮助发型师变得更优秀

提示された髪型について美容師と相談し決めていく
(出典:人工智能美发,晓美机器人帮助发型师变得更优秀

暁美机器人の紹介動画では、実際に使用した人々の感想が語られている。美容サロンの店長のひとりは次のように話す。

「自分が客に提案しようと考えていたヘアスタイルと、暁美机器人が提案したヘアスタイルがほとんど一致していた。流行に敏感なお客さんにとって、こうしたアプリは遊び感覚で楽しめるしとても良いと思った。今後、こうしたアプリの存在は私たちにとって大きな力になるだろう」。

一方、顧客側からは「初めてこうした製品を利用したがとても新鮮だった」「分析がとても丁寧」「カルチャーショックを受けた。スマホでヘアスタイルを決められるなんて思いもしていなかった」など、ポジティブな声が聞こえてくる。

暁美机器人がもたらすメリット

暁美机器人を開発した杭州数為科技有限公司は、2015年7月に設立された企業で資本金は約80万元(約1300万円)。スタッフ数は40名ほどとなっている。同社は、暁美机器人の利点をいくつかに分けて説明する。

まずひとつが、「オーダーメイド」の実現だ。こちらは「パーソナライズ」と言い換えてもよい。様々なデータ・次元から顧客を分析することで、顧客ひとりひとりに適したオリジナルヘアスタイルを提案するのに役立つというものである。

ふたつめは、「科学的美しさ」と「リアルな再現性」の実現だ。暁美机器人を使えば、顔の形や傾向を細かく分析した客観的視点から髪型を提案できる。加えて、スマホをタップしていくだけの簡単操作でヘアスタイルを決定できるので、美容師・顧客間の正確なコミュニケーションが可能となる。

これまで、どのような髪形が似合うかという判断は美容師の経験や顧客自身の好みに左右されてきた側面が大きい。が、主観(たとえそれが顧客自身の提案であっても)から導き出された髪型を顧客が気に入らなければ、二度と同じ美容サロンに足を運ばなくなるケースも多々ある。そういう意味では、意思決定という責任から両者を“解放”してくれるというメリットが暁美机器人にあるのかもしれない。杭州数為科技有限公司はその他にも、データを収集することができるため、「顧客開拓」「顧客管理」に繋がるとサロン側のメリットについても言及している。

Image: wxin via shutterstock

データ活用が中国美容サロン企業の差別化戦略のひとつに

中国商務部が発表している2017年度版の「中国ビューティーサロン産業発展分析レポート」によれば、中国国内で企業として運営されている美容室(および理髪店)の店舗は約18万店で、従事するスタッフ数は約141万人にのぼる。ちなみに、市場規模は約1373.9億元(約2兆2571億円)。カットは50元〜100元(約821~1643円)、パーマやカラーだと150元〜250元(約2464~4107円)が相場となっている。

ざっくりとだが、日本では美容師の数が約50万人で店舗数が約25万店舗。両者を比較すると、中国では圧倒的に従業員の数が多いことがわかる。実際、中国の美容院に行くと待機しているスタッフが大量にいる」(現地ビジネスマン)そうで、しかも短時間・格安の美容サロンが流行しているという。
そのように低価格競争や人材の飽和が起こっている中国美容サロン業界では、人件費を抑えつつ、会計ミスなど人的ミスをなくすためのテクノロジーに注目が集まってきた。

すでに全自動シャンプーシステムや、店員のシフト管理・給与計算・売上管理・顧客の顧客受付を効率化する最先端システムが導入された「Smart Shop」が中国美容サロン業界の話題となり始めて久しい。そしてその合理化のための自動化、スマート化の延長戦上に登場したのが、データを使って顧客の囲い込みや管理を可能とする暁美机器人などAIアプリといえる。

今後、暁美机器人のようなアプリが発展すれば、美容サロンにおけるデータ活用のハードルもぐっと下がっていくだろう。顧客の価値や趣味嗜好を「見える化」して残しておければ、単純なコストカットにとどまらず、さらに新しい価値を顧客に提供できる可能性が出てくる。

Text: チーム・ロボティア(Team Roboteer)
Top image: WAYHOME studio via shutterstock

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