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アリババ VS アマゾン、東南アジア6億人市場のEC覇権争い

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近年経済力をつけ消費が活発になっている東南アジアは全体で見れば6億人以上の市場を抱えるが、異なる文化背景、大陸続きではない地理的条件などひとつの市場としてまとめるには課題も山積だ。しかし、各国政府にも食い込み勢力を広げるアリババと、シンガポール、ベトナムと隙間を狙って高いサービスレベルで追い込みをかけるアマゾン。ASEANを制するのはどちらか。今回は2回に分けて、東南アジアのECの覇権を狙うアリババとアマゾンの動きを俯瞰してみたい。

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Image: chuttersnap via Unsplash

今年3月、中国最大のEC事業者アリババが、傘下にもつ東南アジア6カ国で展開するECサイトの「ラザダ(LAZADA)」に対し、再び20億米ドルの資金を投入することを発表。同時に、アリババ創業メンバーの1人である女性幹部がラザダのCEOに就任した。

20億米ドルとは、アリババがラザダの経営権を手にするのに出資したのとほぼ同額で、ラザダ本社があるシンガポールやASEAN近隣諸国をざわつかせるニュースとなった。既存のビジネスを買収し、その影響力を積み上げるにとどまらず、東南アジア市場全体を見据えた、アリババの本格的な攻めのスタンスが明らかになったからだ。

2017年12月、米グーグルとシンガポール政府系投資ファンドのテマセク・ホールディングスが発表した共同レポートによると、東南アジアのEC市場の規模は2015年の55億米ドルから2017年に109億米ドルにと成長、2025年には881億米ドルへさらに拡大するとしている。

インターネットのインフラの整備やスマートフォンの普及、物流システムや倉庫の確保、電子決済システムの浸透などの面で、ASEAN各国での現状に差があるのは事実だ。しかし、各国間の物品関税がほぼ全て撤廃されるなど、ASEAN経済共同体として徐々に機能しはじめている。複雑で課題も多い東南アジア市場だが、世界的にみてもこれほど勢いがある市場はほかにない。アリババが本腰を入れて取り組むには、まさに好機といえるだろう。

シンガポールでは早くから韓国、日本、ドイツ資本がシェア争い

ASEAN諸国で断トツのGDPと消費パワーを備え、ネットリテラシーも高いシンガポールは、域内で最も早くECサイトが参入した国だ。ラザダに先駆け、韓国資本でスタートし利用者数最大規模の「Qoo10」、2015年から東南アジア最大のゲーム企業SEA(旧ガレナ)が運営する「Shoppie(ショッピー)」などが競合し、シンガポール国内はもとより、域内でシェアを争ってきた。ちなみに日系資本では、2年ほどの活動ののち2016年に姿を消したRakuten(楽天)があるが、ラザダの勢いはこの頃に増したといわれている。

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