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「本物」鑑定と、試用OKで人気のECアプリSECOOとtrytry、その可能性とは

◆ English version: Genuine luxury and try-before-you-buy: The world of SECOO and TryTry
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中国のEC市場といえば、アリババグループ(阿里巴巴集団)のタオバオ(淘宝)と京東グループのJD.COMの存在が有名だが、市場は細分化されており、ほかにも専門のECプラットフォームが無数に存在する。今回は、購入前にブランドアイテムや化粧品が「試用」できる高級品ECプラットフォームの最大手「SECOO(寺庫中国)」と、同社が出資するスタートアップ「trytry」についてみていきたい。

SECOOは2008年7月、李日学CEOと4人の仲間によって山東省済南市で設立された。同社がまず着目したのは、ブランド品の中古販売を始めるためだった鑑定技術だ。創業者のうち3人が国家資格である「鑑定評価師」の資格を取得すると、済南市内に中古品の委託販売店を開業した。2009年には全国から鑑定士を集め、北京に「寺庫高級品鑑定センター」を開設。日本や米国から時計鑑定士やジュエリーの専門家を招聘するほどの力の入れようだった。

プライベートジェットも販売するECサイト

2011年、同社はECプラットフォーム「SECOO商城」をローンチする。すると同年、米ベンチャー・キャピタルのIDG Capital PartnersがリードするシリーズAラウンドで1,000万米ドルを調達したのを皮切りに、シリーズEラウンドと順調に資金を調達。2017年9月には、米ナスダックに上場した。そして2018年7月には、京東グループとシンガポールの金融機関L Catterton Asiaから1.75億米ドルの出資を受け入れた。同社の現在の時価総額は約44.4億米ドル(約4,800億円)に達する。

SECOO商城が取り扱うのはブランドのバッグからアパレル、ジュエリー、コスメ、子ども服、家電、自動車パーツ、旅行など多岐にわたるが、プライベートジェットやヘリコプターまで扱っている。同社によると、取り扱っているブランドは国内外3,000以上で、商品は30万アイテムに及ぶという。テック系メディア「IYIOI.COM(億欧)」によると、2018年第3四半期のユーザーのひとりあたりの平均消費額は7220.4元(約11.5万円)にのぼったという。

このような高級品ECプラットフォームは現在、中国でレッドオーシャン化している。競合は英「Farfetch」や、「SHANGPIN(尚品)」などがあるほか、2017年8月にはアリババのTMALL(天猫)が「Luxury Pavilion」を、2017年10月には京東グループが「TOPLIFE」を立ち上げたが、どれも際だった存在感は示せていない。京東グループは、TOPLIFEの業績が芳しくないことからSECOOへの出資を決めたとも思われる。ただし、市場は大きく米コンサルティング会社Frost & Sullivanによると、SECOOの中国国内でのハイエンドマーケットのシェアは25.5%で、アジアでは15.4%を獲得している(2016年)。

直近の2018年第3四半期の決算報告によると、流通総額(GMV)は前年同期比57.4%増の21.9億元(約351億円)だった。総注文数は同59.7%増の59.44万件。アクティブユーザー数は、92.4%増の30万4,000人。純収益は同60.1%増の15.724億元(約251.584億円)と、好調そのものだった。

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