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フランスの反ブラックフライデーにみる「責任ある消費」を促すムーブメント

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外出制限の緩和と小売店の営業再開に合わせ、フランスでは1週間遅れの2020年12月4日からの開催になったブラックフライデーの大型セール。大手化粧品ブランドが大幅な値下げを打ち出すかたわら、割引の代わりに環境保護団体への寄付をするといった、ここ数年盛り上がりつつある、エシカル消費という文脈での反ブラックフライデーの運動も展開された。美容やファッション領域でも企業姿勢を問われる場にもなったフランスのブラックフライデーを検証する。

企業や組織による連携で「セール」を見直す動きが活発に

ブラックフライデーとは、米国で11月第4木曜日の感謝祭(サンクスギビングデー)の翌日から期間限定で行われる大規模なセールのことである。大手ECサイトや量販店など多くの企業が特別割引価格で販売することで知られ、近年では日本を含め世界中に広まっている。

フランスでも2013年以来、11月末に4日間限定で大幅な値下げプロモーションが行われている。しかし、フランスではもともと感謝祭を祝う習慣がなく、こうした消費喚起による過剰消費が大量のCO2排出につながり、気候変動に影響を及ぼすとして、反ブラックフライデーの団体が複数発足し、環境や社会にとって良い消費行動に変えようとする運動が起こっている。

ただし、2020年のこの時期フランスでは新型コロナウィルスによる第二波の感染拡大により外出制限がしかれたため、多くの店舗が閉鎖されたが、一方でアマゾンなどのネット通販大手は営業を続けており、ブラックフライデーを11月27日から始めることは不平等だと小売店から不満の声が高まった。それを受けフランス政府は、感染予防また経済的な理由にもとづき、フランスでのブラックフライデーを1週間延期して、実店舗が営業再開後の12月4日からスタートすることを提案し、アマゾンや大手百貨店を含め、多くの小売店がそれに応じた。

このように昨年とは状況が様変わりしたものの、フランスの化粧品業界にはもともと、環境保護や循環経済を推進する中小ブランドやスタートアップが多いことから、反ブラックフライデーの活動に賛同する企業は少なくない。自ら団体を作り、積極的に運動を展開する企業もある。ブラックフライデーをめぐるフランス美容業界の傾向と企業のアクションをレポートする。

パリ市も後援、循環経済と責任のある消費を訴える「Green Friday」

初めてフランスで発足した反ブラックフライデーの運動は、2017年に非営利団体Envieが発足した「グリーンフライデー」とされている。同団体は、家電や家具、衣料品などさまざまな廃棄物を回収してリサイクルしたり、あるいは修理して、社会的に恵まれない人々が手の届きやすい価格で再販売しており、廃棄を減らす責任のある消費を促進しながら、環境問題や社会課題に人々の目を向けさせる取り組みをしている。

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