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ロクシタンがコロナ禍でも売上を堅持した理由は顧客のファン化とデジタルシフト

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4月に発令された緊急事態宣言。約1ヶ月半の間、全国の実店舗が閉鎖したことにより、美容業界でも多くの企業が大きな打撃を受けた。そのなかで顧客をうまくECへと誘導し、売上への影響を最小限に抑えたのが「L’OCCITANE(以下、ロクシタン)」だ。顧客をファンに育成する仕組みと周到なデジタルマーケティングが大きく寄与した。

ロクシタンは、プロヴァンスのライフスタイルを提案するブランドとして、香水文化のない日本人にも馴染みやすいナチュラルな香りと、華やかなパッケージデザインから、“必ず喜ばれるギフトアイテム”として同ブランドを想起する消費者は少なくない。

なぜ、ロクシタンは人びとの消費活動が停滞したコロナ禍においても、ブランドの影響力を維持し続けられたのか。ロクシタンジャポン株式会社 マーケティング本部 本部長 木島潤子氏に話を聞くとともに、同社がこれまで取り組んできたデジタル戦略を紐解く。

コロナ禍で真価が問われたブランドの力

多くの場合、初めてのロクシタンとの出会いは、クリスマスやホワイトデーなど、シーズナルイベントのギフト選びである。平均すると約半数がそういった新規顧客だという。

それをきっかけに、メールやSNSなどのデジタルチャネルやオフラインのDMなど、あらゆるチャネルを駆使しながら、ロクシタンは顧客をナーチャリングし、エンゲージメントを高めていく。こうして、いずれギフトだけではなく、自身のためにもリピート購入を重ねるロイヤルカスタマーへと育て上げるのだ。ロクシタンが長年培ってきたこのビジネスモデルには、もうひとつ大きな特徴がある。

一般的に、コスメの新製品発表のタイミングは、春夏/秋冬の年2回である。しかし、ロクシタンでは、年17回もの高い頻度で、香りを軸とした新シリーズが発表され続けている。1つのシリーズで複数カテゴリのアイテムが発売されるため、年間約200アイテムもの新製品が市場に投入されている計算になる。これらの新製品は、限定品も多く発売の3週間前から予約を取ることができ、いま予約しないとなくなるかもしれないという期待やワクワク感を醸成することにもなる。そのため「『常に驚きを与えてくれるブランドだ』という認識が、顧客の中で浸透している」(木島氏)。

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