混沌のインド美容市場。ユニリーバ、P&Gの長期戦略と、これからの展望
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インドの美容市場を一気に理解することは非常に難しい。多様な文化、人種、言語に加え、外資規制や国内地域別のルール、社会的課題の多さの中で、テクノロジーによるリープフロッグが起こり、人々の生活を劇的に変えようとしている。12年にわたり25回以上のインド訪問で、望月奈津子氏が見てきた市場の変化をひもとく。
インドの美容市場は流通が複雑なことや参入規制もあり、外資系企業は、体力のある大手が長期戦略をとって成功しているケースがほとんどといっていい。ユニリーバ、P&Gなどは現地の生活に密着した製品やサービスを提供するにあたり、インド文化に根ざしたマーケティング手法をテクノロジーも駆使しつつ、根づかせているのが特徴だ。
ユニリーバは、1933年にその前身企業がインドでビジネスを開始し、現在では現地法人であるヒンドゥスタン・ユニリーバ社として活動している、P&Gは64年にインドでビジネスを開始し、ヘアケアやスキンケアの美容プロダクトを展開してきた。
「インドでこれまで830億ℓの飲料用浄水を提供してきた」
出典:ヒンドゥスタン・ユニリーバより
両社ともインド社会に貢献する活動にも力を入れ、現地の社会課題解決に一役買っている。ユニリーバの「Project Shakti」は、2001年より都市から離れた地方に住む女性の自立をサポートして彼女たちの家族の生活に貢献するプロジェクトを展開。P&Gは2004年に、貧困層の多い村の子供たちを援助する「Shiksha」という活動を開始している。
さて、市民が化粧品を購入するのは、ドラッグストアやスーパーマーケットのほかに、自宅と一体化した小さな家族経営のいわゆるパパママストアが、デリーやムンバイのような大都市でも一般的だ。インドの小売店はこういったチェーン店化されていない店舗が圧倒的に多く、広さが50㎡に満たない店が99%をしめるという数字もある。
一方、都市部の高級ショッピングモールでは、美容分野においては地元の高級ブランドだけでなく、シャネル、クリニーク、M・A・C、キールズ、ロクシタン、The Body Shopなども各ブランドの店舗を構え、高級美容室では、ロレアル製品が多くみられる。
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