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2019年以降、ニューエイジ・ビューティが一大トレンドに。WGSNの分析

◆ English version: New trends for a new age of beauty
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昨年11 月に香港で行われたコスモプロフアジア。展示会期間中に行われる「コスモトーク」は、美容業界の最新トレンドを知る絶好の機会だ。そのなかから今回は世界のファッション・美容動向を調査分析するシンクタンクWGSNのシニアビューティエディター、テレサ・イー(Theresa Yee)氏によるプレゼンテーション「美容とウェルネスのニューエイジ(The New Age of Beauty and Wellness)を紹介したい。

WGSNについては、2017年12月に未来の消費者動向を予測したセッションの記事を2回に分けて紹介した。今回は、より美容に特化したプレゼンテーションだ。講演タイトルにもある「ニューエイジ」という言葉には、意識の変革や霊的な世界という意味合いがある。なぜニューエイジなのか。その答えをイー氏が解説する。

WGSNシニアビューティーエディター
テレサ・イー(Theresa Yee)氏

「ブランドやリテールは、消費者が求めるものを作り注目を集めるために、常にそのニーズを予測しなければならない。そして、その予測に成功すれば、今度は次のトレンドとマーケットに自らが影響を与えるようになり、トレンドサイクルを形成することになる。消費者の注目が一箇所に留まる期間はどんどん短くなっているので、現在のウェルネスマーケットや消費者の考え方を理解して、これらがどのように将来に影響していくかという、先読みの力がますます大切になってくる」とイー氏は話す。

そしてウェルネス業界の経済成長のスピードは、グローバル経済全体よりも速い、とするイー氏がピックアップした世界各地で芽吹きはじめているトレンドは、美容とウェルネスが完全に合体した次の世界を示唆しており、いずれも目を開かされる新鮮な内容だった。

ウェルネスがライフスタイル全般に組み込まれる

「今日のウェルネスは、もはや単なるトレンドではなくてライフスタイルそのもの。家、オフィス、旅先、リテールのすべてにウェルネスが組み込まれており、消費者の意識はさらに高まっている」とイー氏。世界各地で、食からフィットネス、ビューティーが1つの空間にまとめられた、いわば「ウェルネス・デスティネーション」が登場しているという。

「たとえば、ニューヨークのClean Marketには、赤外線サウナ、全身の凍結療法、点滴静脈注射、機能性食品とトニックバー、サプリ売り場が揃っている。ロンドンにも、スーパーフードカフェ、オリジナルのナチュラル化粧品ショップ、プライベートの赤外線ポッドなどが揃うGlow Bar や、ヘルスフードバーやレストランに加えてヨガやジム設備が充実したAnatome などの、ウェルネスハブが見つかる」


また、社食にプラントベースのパワーフードを取り入れたGoogleや、職場にヘルシースナックをデリバリーするオーストラリアのSnackwizeなどの事例も紹介された。

ウェルネスにおける多様性への啓蒙が進む

ファンデーションの色味に40色を超えるチョイスが現れ、広告モデルにトランスジェンダーが起用されるなど、ダイバーシティへの配慮が整ってきたビューティー業界に比べて、ウェルネス業界はまだまだ遅れているのが現状」とイー氏は指摘。

その状況が端的に表れる例として挙げられたのが、YOGA、Meditationなどのキーワードを検索すると、ずらりと並ぶ白人女性のイメージだ。「残念ながらウェルネス業界はホワイトウォッシュ(白人化)されているが、世界各地で有色人種のインフルエンサーの活躍が目立ち始めており、ウェルネスにおけるステレオタイプが打破される方向にある」

同様に、ステレオタイプなイメージによって長年抑圧されていたのが「男性の健康問題。例えばED(勃起不全)問題をもっとフランクに語ることができる変革が起きつつある」。男性はマッチョでワイルドであるべきという社会のメッセージのトーンが変わり、男性も自分の体を大切にするべきとの考えが広まっていく動きが出てきているという。

脳をいたわることが未来のビューティーの鍵

さらにイー氏は、美容や健康法の一環として「脳へのいたわり」が今後のトレンドになるとも予測している。「現在、世界に3億人以上の鬱病患者がおり、2030年には肥満を超えて世界最大の疾患になることがWHOによって予想されている」という状況で、すこやかな心をもつことの重要性が問われていくのだ。

単なるリラクゼーションを超えて、脳の健康を守り、機能を向上させる意識が高まりつつあるいま、「AIを駆使して心を落ち着かせることに、プライオリティが高まるはずだ。例えばメッセージアプリTruthifyは、動画やメッセージを見ている間の表情を、顔にある43種類の表情筋の動きをAIで分析することで、真の感情を読み取るという仕組み。また、脳に働きかけて集中力を高めたり、不眠を解消したり、緊張をほどくような機能を持つ脳サプリメントも、今後飛躍的に伸びるビジネスになるだろう」

サプリメントの他には、脳にチャージする機能性ドリンクTruBrainなど、いわば脳ドリンクとも呼べる飲料も登場している。

「今後は脳をいかに使いこなしていくかが主流になる。そして、さらに一歩先を行くのが、Enlightenment Engineering(エンライトメント・エンジニアリング、個人の気づきを導くテクノロジー)である。つまりテクノロジーの助けをかりて『悟り』を開かせる分野が登場し、将来、市場は巨大化していくだろう」とイー氏はみる。

トーク内で紹介されたWGSNのホワイトペーパー
「The Future of Beauty」。画像のQRコードから
ダウンロードできる(要登録)


約30分にわたるトークではそのほかに、ニューエイジの文脈のなかで先行しつつも、その到来を確かに実感できる多彩なトレンド予測が続いた。その中から主なものをリストアップしよう。

注目の食材や美容成分は茸とカナビス(大麻)
茸の持つ健康上の恩恵が今、世界中でクローズアップされている。カナビスは非合法成分から、素晴らしいウェルネス素材へと変貌していく。チャーガマッシュルーム(charga mushroom、日本名カバノアナタケ)は、強力な抗酸化、炎症の鎮静、肌細胞の修復機能で脚光を浴びている。これは、茸を使った化粧品の草分けであるオリジンズのDr. Weil Mega-Mushroomラインに、すでに取り入れられている。

抗生物質からの脱却と民族植物学
抗生物質が効かない耐性菌が増殖する中、Ethnobotany(民族植物学)などの古代から知られている天然成分の効力の研究に注目が集まっている。その最前線にいる研究者がエモリー大学助教授のカサンドラ・クァーブ(Cassandra Quave)博士だ。

高気圧酸素治療など空気の重要性
Hyperbaric Oxygen Therapy(高気圧酸素治療)がさらに普及する。2002年ワールドカップ初戦の2ヶ月前に左足の甲を骨折したベッカム選手が、高気圧酸素治療を施して問題なく出場できたことが話題となり、いまでは多くのアスリートが日常的に取り入れている。さらに、大気汚染に悩む中国では空気清浄機だけでなく、クリーンな空気そのものがが高額で販売されており、新鮮な空気はラグジュアリーアイテムとして扱われる。

未来の状態を予測する遺伝子検査
「今、この時点の体の状態」ではなく、遺伝子や細胞レベルでの情報を取り入れた、いわば未来の状態を予測する遺伝子検査、リスクマーカー検査による健康診断が進む。

ホルモンの活動に合わせた美容・ヘルスケア
月経や更年期など、ホルモンの活動に合わせたヘルスケアが広がる。PMS(月経前症候群)を和らげる食事も登場している。これは、女性のエンパワーメントにつながっていくものである。スキンケアも「オイリー肌やドライ肌」ではなく、月経周期に合わせて分類されるようになる。周知のとおり、ホルモンの活動の変化は、女性にとって体調だけでなく精神状態にも影響するからだ。

締めくくりでイー氏が「過去10年はコンピュータがイノベーションのプラットフォームであったが、これからの10年は人間の体がそのプラットフォームになる」と語るとおり、科学や医学の著しい発達の結果、ある意味、原点に戻るともいえる、心と体の全体を整えるウェルネス時代の訪れを感じさせる。

世界的なトレンドであるクリーンビューティやエシカルビューティと平行して、心のあり方をも含むニューエイジ・ビューティも2019年、大きなトレンドになるだろう。

Text&Photo: 甲斐美也子(Miyako Kai)


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