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紫外線を味方に、Second Skin技術をより広範囲に。化粧品を超える資生堂R&D戦略

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資生堂がR&Dのさらなる強化とともに、そのコミュニケーションにも力を入れていく。2021年1月には、R&Dのトップであるチーフブランドイノベーションオフィサーに、マーケティング出身の岡部義昭氏が就任。2030年に“スキンケア領域で世界No.1”を達成し、インナービューティ市場への本格参入も視野にいれる。そのR&Dがいま注力している分野、体制、そして理念についてひもとく。

紫外線を肌の上で「味方」に変えるという逆転のアプローチ

2021年11月に開催された「資生堂R&D戦略発表会」で明かされたのは、同社が新たに制定した独自のR&D理念「DYNAMIC HARMONY」にもとづくアプローチで研究を進める3つのイノベーションだ。それぞれの研究成果は、化粧品の常識を超えたアプローチから生まれた。

資生堂が研究開発を進める未来のサンケア技術は、植物の“光合成”から着想を得て、紫外線をいかに防ぐかという議論から脱却し、紫外線を肌によい作用をもたらす可視光(緑〜赤にわたる広い領域の光)へと変換する技術を用いている。

紫外線を吸収し、異なる光エネルギーとして放出させる特性をもつ物質を探索し、400種類以上の原料のなかから、十分な光の強度や安定性を保ちながら紫外線を肌によい可視光に変え、かつ安全性も高い藻類由来のSpirulinaエキスと天然鉱物由来の蛍光酸化亜鉛を見出した。

Spirulinaエキスと蛍光酸化亜鉛を配合することにより紫外線が可視光に変換される様子
出典:資生堂プレスリリース

Spirulinaエキスと蛍光酸化亜鉛を組み合わせて紫外線を可視光へ変換することで、紫外線でダメージを受けた真皮細胞が活性化され、紫外線照射前よりもコラーゲンやヒアルロン酸の産生が高まることや抗炎症作用があることも確認された。この技術を応用したサンケア技術の開発を進めていくとともに、「環境を受け入れて調和する」という新発想の技術をさらに進化させ、紫外線以外の環境をも味方にする技術の開発にも取り組んでいくという。

MITの「Second Skin」技術をほうれい線などさらに広範囲に応用

これまでの化粧品では実現できなかった肌形状を瞬時に変える「Second Skin」技術は、「化粧品ではないカテゴリーをつくる」というミッションのもと、10年以上前から構想してきたと話すのは、株式会社資生堂 みらい開発研究所 新領域価値開発センター長 高橋秀企氏だ。高橋氏は、MIT(マサチューセッツ工科大学)からスピンオフしたOlivo LaboratoriesのSecond Skin技術の取得交渉時からプロジェクトを牽引してきた。

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