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韓国の化粧品原料がグローバルで人気の理由を探る。in-cosmetics Korea 2018

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2018年6月13日から3日間にわたり、韓国江南地区にて「in-cosmetics Korea 2018」が開催された。「anti-pollution(抗汚染物質)」、「encapsulation(カプセル化)」、「preservative(防腐剤)」の3大テーマを掲げた、化粧品成分の今後のトレンドを左右する大きな原料展示会。今回はそんなin-cometics Koreaの会場の様子と、韓国の原料市場が注目される理由をレポートする。

化粧品原料発信のプラットフォームとしてその地位を築き上げてきた、世界最大級のパーソナルケア原料展示会オーガナイザー、in-cosmeticsグループ。1990年、イングランドのバーミンガムでの初開催時は、出展企業80社、ビジター900名程度だったが、現在はアジア、北米、ラテンアメリカ、ヨーロッパ(グローバル)で年に6回、1,700以上の化粧品製造業者と、3万2,000以上の化粧品業界のプロフェッショナルを繋ぐ規模までに成長した。

「in-cosmetics Asia」としては、2008年にタイのバンコクで初めて開催されて以降、毎年同国で開催されているが、世界でもトップクラスの発信力と飛躍力を持つ韓国の化粧品市場でも2015年から「in-cosmetics Korea」としてソウルでも毎年開催されている。

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会場内の様子

2018年のin-cosmetics Koreaには、韓国国内外から200社を超える展示企業、7,000種もの商品が集結。ビジターは、世界各国の化粧品製造業者、卸売業者、コンサルタント、R&D専門家、化粧品サイエンティスト、セールスやマーケティング担当者などが中心だ。
開催期間は3日間で初日は「フォーミュレーション・デイ(処方の日)」と題し、さまざまなアクティビティを実施。2日目以降も、出展企業による市場トレンドの説明会やテクニカルセミナーが毎日無料で開催され(※会場入場料は別途発生)、普段はなかなか聞けない原料や成分における知識を得ることができる。

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初日のテクニカルセミナーの様子。人気セミナーは開場と共にすぐに埋まる

韓国原料市場が注目を集める理由

韓国の原料は、最近までそれほど注目度は高くなく、世界的シェアは中国製品が占めていた。しかし、7〜8年ほど前から中国産の原料が問題視される機会も増え、「安心・安全・高品質」を謳う韓国国内の原料市場が世界から一気に注目されるようになる。そしてナチュラル・オーガニックコスメがグローバルトレンドとなった2018年、韓国の原料市場は俄然、その注目度を高めているのだ。

そんな時流の中、開催された今回の展示会。3大テーマとして掲げられたのは、先にも紹介した通り、「抗汚染物質」、「カプセル化」、「防腐剤」だ。中でも、「抗汚染物質」のマークを掲げるブースが目立っていたのは、中国市場を意識した表れだといえる。
人口が少ない韓国では、国内スタートアップの原料製造企業らは、最初からグローバルを見据えた商品開発に取り組むのが常だ。特に韓国の化粧品業界にとって、輸出額が全体の約40%を占めるほどのビッグマーケットである中国が、昨今PM2.5や黄砂などの深刻な大気汚染問題を抱えており、今回のイベントに「抗汚染物質」のプロダクトが多かったのは必然ともいえる。

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左から「防腐剤」、「カプセル化」、「抗汚染物質」のマーク

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会場には多くの「抗汚染物質」のマークが見られた

韓国ではユーザーも成分の安全性への意識が高い

注目度の高まった韓国原料市場では、比較的小規模な製造企業や経験の浅いスタートアップ企業でも、国外からの信用が得やすい状況にある。

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厳しい基準をクリアして作られたNanogenの製品

韓国の化粧品原料のメーカー「Nanogen」も、2004年創立の比較的新しい企業だ。しかし、アメリカの環境保護団体である「EWG」の基準を自社製品に取り入れ、厳しい品質管理を徹底し、国内外からの信頼を得ている。今回のイベントのテーマの1つともなっている「防腐剤」においても独自に研究・開発し、EWGの基準で最高評価のグレード1を獲得した。

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アメリカの環境保護団体「EWG」の認定マーク

こうした成分に対する強い意識や関心は、エンドユーザーにまで浸透し始めている。
現在、韓国のミレニアル世代の女性の間では、エンドユーザーが化粧品の成分の安全性を検索できる「ファヘ」というスマホアプリが人気で、知名度もかなり高い。実際、街のビューティストアの店員に「どんなアプリを使っているか」と聞くと、開口一番にこの「ファヘ」を挙げるほどだ。

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画像:韓国の化粧品成分検索アプリ「ファヘ」より

使い方はごくシンプルで、化粧品名をアプリに打ち込むと、すぐに配合されている成分がリストアップされる。ファヘの安全基準自体が、前出のEWGに沿った基準となっており、アプリ上で肌に対する安全性や危険度が色によって識別されるようになっている。
Nanogenのような国際基準を取り入れた取り組みや成分に対する意識は、韓国ではエンドユーザーにまで下りてきているのだ。

韓国のトレンドは済州島産の自然原料

そんなナチュラル・オーガニックコスメのグローバルトレンドと、成分に対する関心が高まる中、市場で注目されているのが「Jeju(済州)」の自然成分だ。韓国最南端にある自然島、済州島。韓国企業の出展ブースには、この済州島原産の自然原料を使用したプロダクトが多く、ビジターの注目を集めていた。

済州島の人気を感じるのは、同展示会の場内だけに限らない。昨今、韓国の街並みにJejuの文字を引っ提げたブランドやコスメを見るのはもちろん、日本にも2018年3月、韓国国内でミレニアル世代を中心に支持されている済州島発のコスメブランド、イニスフリー。が東京・表参道に1号店をオープン。同年6月15日には、渋谷109にも店舗を構えたばかりだ。

韓国の伝統的植物 菖蒲根が化粧品原料に

韓国の化粧品原料メーカー「THE GARDEN OF NATURALSOLUTION」も、そんな済州島原産のプロダクトを前面に打ち出して出展した1社だ。
中でも済州島の大自然の元で栽培された菖蒲根(ショウブコン)の成分を配合した新製品「JejuChangpo」は、韓国の文化になじんだ製品だといえる。

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済州島で栽培されている菖蒲。サトイモ科の植物

韓国で菖蒲根は、古くから親しまれてきた薬用植物。旧暦5月5日にあたる端午の節句(韓国での発音は「タノ」)には女性は体を清めるべく、菖蒲根を煮出した水で髪の毛と体を洗う伝統的風習がある。
同じように菖蒲根は中国でも漢方として頻繁に使用される植物であるため、中国人からの認知度や注目度も高い原料だといえる。

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THE GARDEN OF NATURALSOLUTIONが提供する済州島シリーズ

一方、こうして急激に伸びてきた韓国の製品に、かつて原料市場をけん引していた中国は、国内製品を保護すべく、現在、特定の原料や成分の輸入を規制している。上記の写真のリストの中国国旗の下にある○印をみていくと、その○印のない「Jeju Blossom」などの製品は、原則中国では販売ができない。こうした中国向けバイヤーに向けたリストを作成するところからも、韓国がいかに中国市場を意識しているかが分かる。

済州島のウンシュウミカンにも注目が集まる

昨年ブラジルのサンパウロで開催された「in-cosmetics Latin America」において、イノベーション賞銀賞を受賞したことで注目を浴びたBIOSPECTRUM社の「Eosidin」も、済州島原産にこだわったプロダクトだ。

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BIOSPECTRUM社の「Eosidin」

同社は、「屋外ばかりに気を取られ、見落とされがちになる屋内の汚染物質」から肌を守る有効成分の原材料として、済州島で育つ成熟前の若いウンシュウミカンに着目。汚染物質によるアトピー性皮膚炎において、過敏症抑制や免疫調節に効果のあるシトラス成分の抽出方法を、スイスのスペシャルケミカルカンパニーであるクラリアント社と共同開発し、肌トラブル回避の一助となる革新的なソリューションを実現した。
また、環境保護運動に対して敏感な欧米諸国からは、原料品質の高さだけでなく、栽培中に落ちた原料(果実)を捨てずに有効活用するというエコの観点からも評価を得ているという。

in-cosmetics Korea 2018では、韓国企業が全力で今後世界の原料市場を引っ張っていこうとする熱気に溢れていた。日々研究・開発される化粧品原料。今後、韓国の原料市場が世界にどのような影響を与えていくのか、日本も遅れを取らないよう今後も注視していく必要がある。次回は、編集部が選んだ来年以降ブレイクしそうな化粧品原料を紹介する。

Text&Photo: 橋本 愛喜(Aki Hashimoto)尹美晶(Mijoung Yoon)

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