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誰もがコンピュータと自然言語で会話できる時代、必要なのは「問う力」【美容業界における生成AIのインパクトを考える(1)】

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テキストや画像、動画の生成AI(Generative AI)は、日本政府のAI戦略会議で「産業革命やインターネット革命よりずっと大きなものになる」と分析されるほどの社会へのインパクトが想定されている。美容業界のビジネスパーソンとしてどのような展望を描けばよいのか、イノベーション・AI関連分野に知見をもつ識者に「生成AIがもたらすインパクトとすぐそこにある近未来の社会」についての洞察を聞くインタビューをシリーズで掲載する。第1回はD4DR株式会社 代表取締役社長 藤元健太郎氏だ。


人間との会話を自然言語で行う生成AIがもたらす人間とAIの新たな関係

「ChatGPTのような大規模言語モデル(Large Language Models、LLM)が出てきたことの一番のインパクトは、人間とAIの会話が、我々が普段使っている自然言語でできるようになったことだ。これは、人間にとって、コンピュータとのインターフェイス(接点)の革命と捉えることができる」(藤元氏)

未来戦略のためのナレッジベース「未来コンセプトぺディア」などを公開しているコンサルティングファームD4DRを率いる藤元氏は、インタビューの冒頭でこう語った。

「Amazon Echoなどの、いわゆるスマートスピーカーを思い出すとわかりやすいが、あれは、アレクサなどのAIに天気や時間をたずねたり、音楽をかけるなどの一方的な指示をするもので、AIは返事こそするが、本当の意味での“対話”は成立しなかった」と藤元氏は説明し、生成AIとの双方向コミュニケーションを、対話を介して積み重ねていけるようになった点が、“革命的”と呼べる本質だとする。このことが可能にするのは、高齢者もスマホやPCを自然な会話で使いこなし、高度な翻訳機能で言語の壁すらもなくなる未来だ。

人間が言葉で質問を投げかけると、AIがインターネットやソーシャルメディアなどに存在する膨大な情報のなかから、適切な答えを探し出して提示する生成AIの機能を、ビューティ業界ですぐにも実装できる方法として、藤元氏はECサイトでの活用をあげる。「商品画像と商品情報を並べている今のECは、いわばデジタル上の自動販売機のような状態だが、そこに生成AIとの対話を組み込むことで、店頭で接客を受けているのと同様の体験がつくれるだろう」(藤元氏)

つまり、ECサイトからチャットを通して、ユーザーが「来月ハワイに行くから、SPF50でおすすめの日焼け止めを教えて」と聞くと、生成AIが商品データのなかから、その時期のハワイの気候にあった、販売実績が高い人気のSPF50商品を選んで提案してくれる。そこからさらに、勧められた商品の使い心地をたずねたり、海の生態系に影響を与えにくい成分だったり、3,000円以下といった条件を追加するなど、自然な対話を続けることで、まるで店舗の販売スタッフとやり取りしながら欲しい商品の絞りこみをしているかのようなショッピングができるというわけだ。

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